2005年05月17日

JR西社長が辞意表明 速度超過の常態化否定 参院国交委

JR西社長が辞意表明 速度超過の常態化否定 参院国交委

「慰霊碑、毎年法要を」
 兵庫県尼崎市のJR脱線事故で、JR西日本の垣内剛社長は十七日、参院国土交通委員会に参考人として出席し、「私自身、大いなる責任を感じている」と、経営責任を認めた上で、「いつということは申し上げられないが、しかるべき時期にきちんとしたい」と述べ、引責辞任する考えを示した。垣内社長が事故後、辞意を明確に表明したのは初めて。
 末松信介氏(自民)の質問に答えた。垣内社長は当面の課題として、遺族への対応や安全性向上計画の策定、福知山線の運行再開、社内の風土改革などを挙げたうえで、「風土改革には三年五年とかかるだろうが、そこまで長く(社長を)するつもりはない」として、一定の区切りがついた段階で辞任する意向を明らかにした。
 一方、垣内社長とともに出席したJR西の徳岡研三専務(鉄道本部長)は、事故現場ではスピード超過が常態化していたのではとの指摘に対し、「指導員や運転士三十人ほどに聞き取りをしたが、そういう事実はない」と述べ、速度超過の常態化を否定した。山本香苗氏(公明)の質問に答えた。
 また、JR西が事故発生後の記者会見で置き石説を主張したことについて、「結果的に責任転嫁ととらえられ、事故調査に予断を与えたことは深く反省する」と述べた。
 垣内社長は、電車が衝突したマンションに関して「お許しが得られるのなら、マンションの買い上げも重要な選択肢の一つ。できれば毎年慰霊法要をして、事故の重大性を形で表す」と述べ、買い上げと慰霊碑の設置に前向きな姿勢を示した。
 同社長はまた、過密ダイヤやミスをした運転士らに課される「日勤教育」、安全投資などと事故の因果関係については、「背景要因としてはあるのかもしれないが、個別の事柄が直接的に関係があったのかどうかは分からない」と述べるにとどまった。

2005年05月13日

激突衝撃は700トン…柱直撃ならマンション崩落も

激突衝撃は700トン…柱直撃ならマンション崩落も

 兵庫県尼崎市のJR福知山線事故で、激突した快速電車の1両目が、左右に数メートルずれてマンション1階の柱を直撃していたら、柱の損傷でマンション全体が傾き、さらに複数の柱が損傷を受けた場合には崩落の恐れもあったことが13日、国土交通省の現地調査で分かった。

 マンションの柱の設計強度は約300トンだが、1両目が直撃した場合の衝撃は、これを大きく上回っていたとみられる。専門家は「建物の設計で電車が激突するような事態は想定外」と指摘している。

 国交省は4月27日、マンション(鉄筋コンクリート9階建て、47世帯)の被害を確認するため、同省国土技術政策総合研究所と建築研究所(独立行政法人)の専門家計2人を派遣。この結果、マンション1階部分に6〜8メートル間隔で立っている14本の柱(幅約1メートル)に大きな損傷は見つからなかった。

 1両目(高さ3・5メートル)は横倒しになった後、8メートル間隔の柱の間を縫うように突入。一方、2両目は北の角の柱を直撃したが、構造的に柔らかい車体側面からぶつかったため、衝撃は電車側が吸収した。建築研究所の福山洋・上席研究員によると、柱に大きな損傷が出なかったのはこの両条件が重なったためという。

 同マンション(2002年11月完成)は阪神大震災級の地震に持ちこたえるため、1階柱は横からの約300トンの力に耐える設計。一方、交通安全環境研究所(独立行政法人)の谷口哲夫・自動車安全研究領域長の推計によると、2両目の衝突の衝撃は最大700トン以上。1両目は駐車場内の自動車がクッションの役目を果たしたため同260トン以上だったが、柱を直撃したら、この数字をはるかに上回っていたとみられる。

 このため福山上席研究員は、1両目が左右数メートルずれて柱を直撃した場合、建物を支える要となる角の柱が損傷し、マンションが傾くような被害が出ていたことは確実とみている。さらに2両目が別の柱を傷つけ「両隅の柱がともに損傷を受けていれば、上階が崩落した危険性があった」と同上席研究員は指摘する。

 また駐車場の車から漏れたガソリンに引火し火災が発生していたら、鉄筋コンクリートの強度が大きく低下し、建物の被害が拡大していた可能性が強い。

 建築基準法は建物に耐震性を求めているが、それ以外の衝撃には基準を設けていない。和田章・東京工業大教授(建築構造学)は「今回の急カーブ付近のように危険な場所では、設計者や建築主が自主的に強い建物にするしかない」と話す。

2005年05月12日

戻った時もオーバーラン「急発進、急停車」乗客証言

戻った時もオーバーラン「急発進、急停車」乗客証言

 兵庫県尼崎市のJR福知山線の脱線事故で、快速電車が伊丹駅で約70メートルオーバーランして正規の停止位置に戻る際に再び行き過ぎる「逆オーバーラン」をしていたことが12日、複数の乗客の証言でわかった。

 急発進でバックし、かなりのスピードが出ていたという。県警捜査本部は、高見隆二郎運転士(23)(死亡)が遅れたダイヤの回復を焦ってミスを重ねたと判断。高見運転士の事故当日の運転操作について詳細に調べている。

 調べや乗客の証言などによると、快速電車はそれまでの停車駅で乗客の乗り降りによるドアの開閉に手間取るなどして約30秒遅れで伊丹駅に到着。その際、3両半分(約70メートル)オーバーランし、非常ブレーキを作動させて停車した。

 高見運転士は本来の停止位置に戻そうとバックさせたが、再び行き過ぎ、急停止したという。「逆オーバーラン」の距離について、乗客らは「2メートルほど」「1〜2メートル」などと証言している。

 乗客の男性会社員(32)は「これまでにも福知山線で4、5回オーバーランを体験したが、今回は経験したことがないほどの急発進、急停車のバックだった」と証言している。

伊丹駅で遅れ常態化 尼崎JR事故

伊丹駅で遅れ常態化 尼崎JR事故


 尼崎JR脱線事故で、快速電車がオーバーランした宝塚線(福知山線)伊丹駅で、通常二十秒の停車時間を十五秒に短縮していたことが十一日、兵庫県警尼崎東署捜査本部などの調べで分かった。同駅では快速電車の到着遅れが常態化。停車時間短縮やその後の直線区間の高速走行と遅れを取り戻す「回復運転」が頻繁に行われていたという。事故を起こした快速電車も同駅に約三十秒遅れで到着。オーバーランでさらに時間をロスし、一分半遅れで出発しており、捜査本部は、発着に手間取った焦りが、高見隆二郎運転士(23)=死亡=の運転に影響、現場カーブでの速度超過につながったとみて調べている。

 調べでは、事故を起こした快速電車は宝塚駅を出発後、中山寺、川西池田に停車し伊丹駅に到着。この時点で定刻より約三十秒遅れていたという。さらに、乗客の目撃証言で約八十メートルというオーバーランを起こしたため、約一分半遅れの同駅出発となった。

 伊丹駅への快速電車の到着遅れは、二〇〇三年のダイヤ改正で、宝塚―尼崎駅の所要時間を変えぬまま、中山寺が停車駅に加わったことなどが影響し、常態化。大半が、停車時間を所定の二十秒から十五秒に短縮していたといい、事故車両の車掌(42)も調べに対し、「階段付近にかなりの客がいたが、(遅れを取り戻すため)十五秒で対応した」と供述しているという。

 複数の運転士によると、停車時間の短縮や高速走行による「回復運転」は、運転士や車掌の裁量で決めていたという。伊丹駅から約四・三キロの直線区間では「頻繁に制限速度ぎりぎりまでスピードを上げていた」と証言している。

 捜査本部は高見運転士もこうした“運転士の常識”に基づいて回復運転を行い、常用ブレーキをかけるポイントがずれるなどして、十分減速できぬまま百キロ超のスピードでカーブに進入、脱線したとの見方を強めている。一方、同電車は、ダイヤ編成上、宝塚―尼崎間の運転時間を十六分二十五秒と設定され、同区間の快速電車の中で「最速」だったことが判明。こうしたことも高見運転士の運転に影響していたとみられる。捜査本部はJR西日本の定時運行重視の運行管理が安全運転を妨げた疑いもあるとして、ダイヤ編成の経緯に問題がなかったなどを調べる。

JR西、事故車掌が告白「とにかく死にたい…」

JR西、事故車掌が告白「とにかく死にたい…」


 107人の犠牲者を出した兵庫県尼崎市のJR福知山線列車脱線事故で、事故車両に乗務していた車掌が、11日発売の週刊文春の独占取材に応じ、追い詰められた心境を告白している。

 インタビューに答えたのは、京橋車掌区に勤務する松下正俊車掌(42)。同誌によると松下車掌は不眠や倦怠感を訴えて先月30日に大阪市内の病院に入院。病床で取材に応じたという。

 事故直前のオーバーランについては、「『おまけしてくれ』と、頼まれまして。『仕方ないかなぁ』という感じで」と、死亡した高見隆二郎運転士(23)の依頼を証言。

 また、事故発生の状況については乗務員としての非は認めながらも、「仕事上必要な責務は務めたつもりなんですが…」と語る。

 注目される現在の心境は、「夜も寝られへんでね」と睡眠薬を取り出し、「自殺を考えたりもしましたけど…とにかく死にたいと」と追い詰められた精神状況を披露し、嗚咽(おえつ)したという。

 遺族に対しては、「頭を下げて許されるのであれば。床に頭をすり寄せても」と話している。

 公共交通機関としての使命感や責任感の著しい欠如が指摘されているJR西日本。同誌のスクープを読む限り、松下車掌を含めて、関係者がすべてを語らない企業体質を感じざるを得ない。
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