2005年05月20日

<尼崎脱線事故>事故後も「日勤教育」JR西日本で続く

<尼崎脱線事故>事故後も「日勤教育」JR西日本で続く

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、事故の背景の一つとして指摘されている日勤教育(再教育)が実質上、事故後もJR西日本で続いていることが19日、分かった。脱線事故前に日勤教育を命じられた大阪電車区の運転士は事故後、「遺族に謝罪した社長の対応をどう思うか」「現場に献花に行った社員をどう思うか」などのリポートも書かされているという。同電車区を管轄する同社大阪支社は「この運転士の場合は乗務を前提にしたものではなく、日勤教育ではない」と説明しているが、運転士らからは「会社の体質はまったく変わっていない」という声が上がっている。
 関係者によると、この運転士は50歳代で、今年2月6日にJR大久保駅(兵庫県明石市)で約170メートルオーバーランし、約2カ月間の日勤教育を受けた。乗務を再開した4月中旬、高槻駅で停車中にブレーキをかけ忘れ、ドアを開けたまま電車を約50センチ動かしたとして、リポート書きを課せられた。脱線事故後は事故に関する考えを求めるテーマで主にリポートも書いているという。
 脱線事故で死亡した高見隆二郎運転士(23)も日勤教育を受けたことがあった。賞罰的な教育が重圧になったという見方があり、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も、日勤教育の実態の本格的調査に乗り出す方針を決めている。
 脱線事故後は、今月6日に前日までと違う入線ホームを信号が指示していたため、尼崎駅手前で停車し安全確認を行って約1分50秒の遅れを出した運転士が日勤教育を命じられ、抗議を受けて撤回されたことも、17日の参院国土交通委員会で明らかになっている。
 JR西日本広報室は「日勤教育のあり方については、組合の代表者と会議を持って見直しを含め検討中。現場長の判断で続けているケースもあるが、懲罰的な意味合いはない」と説明。事故に関するリポートを書かされている運転士について、同社大阪支社は「(テーマなど)具体的な中身は把握していないが、電車区で安全、営業、接客などの学習を主にやっているだけ」としている

2005年05月18日

駅カメラに映った最後の姿、遺族に提供へ…尼崎脱線


駅カメラに映った最後の姿、遺族に提供へ…尼崎脱線

 JR福知山線の脱線事故で、「あの朝の姿をこの目で確かめたい」という遺族の要望に応え、JR西日本はホームに設置されている防犯カメラの映像を、希望する遺族に見てもらうよう検討を始めた。「四十九日」を待って6月中旬ごろから意向を確認する。

 提供を検討しているのは、脱線した快速電車が走った宝塚―伊丹間で唯一ホームに防犯カメラのある川西池田駅の映像。カメラは上下のホームに2台ずつ設置されており、上りホーム前方のカメラは、1、2両目に乗って亡くなった乗客のうち約20人の姿が映っている可能性が高いという。

 このため、一部の遺族からJR側に「何とか見せてほしい」と要望が寄せられていた。出勤途中に犠牲になった会社員、原口浩志さん(45)(兵庫県川西市)の妻、佳代さん(45)は「あの日は1両目に乗ったはずだが、はっきりしない。日がたつにつれて、夫の最期を知りたいという思いが強まった。もし映像があれば確かめたい」と訴えている。

 防犯カメラの映像は現在、高見隆二郎運転士(23)(死亡)の運転状況などの確認のため、兵庫県警が分析中だが、マスターテープはJR西日本が所有しており、対応できるという。

 同社によると、防犯カメラの映像を遺族に提供するのは初めてという。

 映像を遺族に見せることは個人情報保護法で禁じている目的外利用にあたる可能性もあるが、同法に詳しい大阪弁護士会の岡村久道弁護士は「写真や服の特徴で本人を特定し、他の客の顔が判別できないよう加工して見てもらえば何の問題もない」としている。

JR西日本・電車区、事故後も再教育「日勤」命令

JR西日本・電車区、事故後も再教育「日勤」命令

 JR福知山線の脱線事故後、JR西日本の尼崎電車区(兵庫県尼崎市)の区長が、定刻より1分50秒の遅れを出した運転士に、乗務を外して再教育する「日勤」を命じていたことが17日、わかった。

 運転士は信号機がいつもと違うホームへの進入を示したことから確認のため停車し、到着が遅れたという。運転士から「安全を最優先した判断だった」と抗議を受け、同社は命令を撤回した。

 同社や関係者の話によると、運転士は今月6日午前、JR東西線の電車に乗務中、尼崎駅手前で信号機が前日までの4番線ではなく、3番線への進入を示していたため、いったん停車。無線で到着ホームの変更を確認し、運転を再開し、到着が遅れた。同社によると、電車区の社員が当日の始業前点呼で、ホームの変更を記した作業指示書を運転士に手渡したが、運転士は記載に気付かなかった。口頭での指示は行わなかった。

2005年05月17日

JR西社長が辞意表明 速度超過の常態化否定 参院国交委

JR西社長が辞意表明 速度超過の常態化否定 参院国交委

「慰霊碑、毎年法要を」
 兵庫県尼崎市のJR脱線事故で、JR西日本の垣内剛社長は十七日、参院国土交通委員会に参考人として出席し、「私自身、大いなる責任を感じている」と、経営責任を認めた上で、「いつということは申し上げられないが、しかるべき時期にきちんとしたい」と述べ、引責辞任する考えを示した。垣内社長が事故後、辞意を明確に表明したのは初めて。
 末松信介氏(自民)の質問に答えた。垣内社長は当面の課題として、遺族への対応や安全性向上計画の策定、福知山線の運行再開、社内の風土改革などを挙げたうえで、「風土改革には三年五年とかかるだろうが、そこまで長く(社長を)するつもりはない」として、一定の区切りがついた段階で辞任する意向を明らかにした。
 一方、垣内社長とともに出席したJR西の徳岡研三専務(鉄道本部長)は、事故現場ではスピード超過が常態化していたのではとの指摘に対し、「指導員や運転士三十人ほどに聞き取りをしたが、そういう事実はない」と述べ、速度超過の常態化を否定した。山本香苗氏(公明)の質問に答えた。
 また、JR西が事故発生後の記者会見で置き石説を主張したことについて、「結果的に責任転嫁ととらえられ、事故調査に予断を与えたことは深く反省する」と述べた。
 垣内社長は、電車が衝突したマンションに関して「お許しが得られるのなら、マンションの買い上げも重要な選択肢の一つ。できれば毎年慰霊法要をして、事故の重大性を形で表す」と述べ、買い上げと慰霊碑の設置に前向きな姿勢を示した。
 同社長はまた、過密ダイヤやミスをした運転士らに課される「日勤教育」、安全投資などと事故の因果関係については、「背景要因としてはあるのかもしれないが、個別の事柄が直接的に関係があったのかどうかは分からない」と述べるにとどまった。

2005年05月13日

激突衝撃は700トン…柱直撃ならマンション崩落も

激突衝撃は700トン…柱直撃ならマンション崩落も

 兵庫県尼崎市のJR福知山線事故で、激突した快速電車の1両目が、左右に数メートルずれてマンション1階の柱を直撃していたら、柱の損傷でマンション全体が傾き、さらに複数の柱が損傷を受けた場合には崩落の恐れもあったことが13日、国土交通省の現地調査で分かった。

 マンションの柱の設計強度は約300トンだが、1両目が直撃した場合の衝撃は、これを大きく上回っていたとみられる。専門家は「建物の設計で電車が激突するような事態は想定外」と指摘している。

 国交省は4月27日、マンション(鉄筋コンクリート9階建て、47世帯)の被害を確認するため、同省国土技術政策総合研究所と建築研究所(独立行政法人)の専門家計2人を派遣。この結果、マンション1階部分に6〜8メートル間隔で立っている14本の柱(幅約1メートル)に大きな損傷は見つからなかった。

 1両目(高さ3・5メートル)は横倒しになった後、8メートル間隔の柱の間を縫うように突入。一方、2両目は北の角の柱を直撃したが、構造的に柔らかい車体側面からぶつかったため、衝撃は電車側が吸収した。建築研究所の福山洋・上席研究員によると、柱に大きな損傷が出なかったのはこの両条件が重なったためという。

 同マンション(2002年11月完成)は阪神大震災級の地震に持ちこたえるため、1階柱は横からの約300トンの力に耐える設計。一方、交通安全環境研究所(独立行政法人)の谷口哲夫・自動車安全研究領域長の推計によると、2両目の衝突の衝撃は最大700トン以上。1両目は駐車場内の自動車がクッションの役目を果たしたため同260トン以上だったが、柱を直撃したら、この数字をはるかに上回っていたとみられる。

 このため福山上席研究員は、1両目が左右数メートルずれて柱を直撃した場合、建物を支える要となる角の柱が損傷し、マンションが傾くような被害が出ていたことは確実とみている。さらに2両目が別の柱を傷つけ「両隅の柱がともに損傷を受けていれば、上階が崩落した危険性があった」と同上席研究員は指摘する。

 また駐車場の車から漏れたガソリンに引火し火災が発生していたら、鉄筋コンクリートの強度が大きく低下し、建物の被害が拡大していた可能性が強い。

 建築基準法は建物に耐震性を求めているが、それ以外の衝撃には基準を設けていない。和田章・東京工業大教授(建築構造学)は「今回の急カーブ付近のように危険な場所では、設計者や建築主が自主的に強い建物にするしかない」と話す。
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